魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
 平静を装おうとしながらも、王妃殿下はうれしそうだった。

「大丈夫です。十日分用意したので、十日経つ前に次の分をお渡しいたしますね。近いうちに商会にも卸す予定ですので、誰にでも購入できるようになるはずです」

「ありがとうございます……! これは革命だわ。味以外は完璧ね」

 よっぽど味に思うところがあるらしく、王妃殿下が茶目っ気を見せて言う。

 くすっと笑いながら冗談を言った姿は、アベルを思わせた。

 と、そこで陛下が喉を鳴らす。

「やはりそなたは、噂に違わぬ素晴らしい錬金術師なのだな。こんなにもうれしそうな王妃を見るのは、いつぶりか……。本当に感謝する」

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