魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
 部屋で見つけた害虫をようやく退治したような、そんな晴れやかな気持ちで過ごしていたのに、なぜ今さらになってまた名前を聞く羽目になっているのか、エミリアにはまったく理解できない。

 美しい花畑で、獣の死骸を見てしまった時にも似た不快感。

 姉(リネット)はエミリアの人生において、もっとも必要のない汚らわしい存在だ。

「……しかもなによ、ラスヘイムの王子から寵愛を受けているって」

 無意識にエミリアは舌打ちをしていた。

伯爵令嬢にあるまじき品性のなさである。

ラスヘイムの第一王子の噂は、エミリアも知っていた。

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