魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
 一番古い記憶は、祖母が作ってくれた黄色いお手玉だ。中に小豆が入っていて、手の上でさくさくと気持ちのいい音を立てるのが好きだった。

 少しざらついた生地は芥子色で、花火のような柄があったのを覚えている。今思うとあれはなにかの花だったのだろう。

 姉は自分もたくさんお手玉を持っているくせに、私のものがいいんだと母に泣きついた。

 あんまりにも大騒ぎするものだから、母は私に代わりのお手玉を渡して、姉には私のものを渡したのだ。

『全部同じだから。ね?』

 同じじゃないのに、どうしてそんなことを言えるのだろう?

 そもそも、同じものなら姉の持っているお手玉と交換する必要はなかったはずだ。
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