魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
天才の集う日

 ノインとアルトの喧嘩はあの日以来で、それからひとりと一匹はこれまで通り、表面上は穏やかに暮らしていた。

 私も最初のうちは、またアルトがノインに飛びかからないかとはらはらしていたけれど、機嫌が悪かったのはあの夜だけのようだ。

 あれから、嫌な噂を聞かずに済むようにと街にも出ていない。

 なにかと食料や素材を運んでくれるアベルに申し訳ない気持ちもあったけれど、本人はむしろ頼られているようでうれしいらしい。

 アルトのことを隠していた件は、既に謝罪済だ。

 アベルは私への理解を示してくれたけれど、少しだけ怒った振りもした。

『こんなにかわいい友達を隠していたなんて、ひどいな』

< 305 / 466 >

この作品をシェア

pagetop