魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
 そう言うと、アベルは当然のように私が持っていた木のバケツを取った。

「自分で持てるよ」

「代わりに扉を開けてくれ。それと、甘くないお茶の用意もしてもらえるとありがたいな。今日は話が長くなりそうだから」

 なんだろう? アベルが長時間滞在したがるのは、今に始まった話じゃない。だけど、改まって言われたのは初めてだ。

「わかった。ちょっと待っててね」

 扉を開けてアベルを受け入れ、すぐにお茶の用意を始める。

 ばたばたと騒がしい音が上の階まで届いたのか、お湯が沸いた頃になってノインが階段を下りてきた。

「今、起きたばかりか? 寝癖がついているぞ」

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