魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
 ついでにお茶菓子も用意して待っていると、どこからともなくアルトが現れてテーブルにのった。

 真っ先にアベルのもとに向かうのは、彼がおいしいおやつを持っていると知っているからだ。

「なんだ、またおねだりに来たのか? しょうがない奴だな」

「いっぱい食べさせるから、前よりちょっと丸くなったみたい。ほどほどにね」

「俺の悪い癖だな。かわいい生き物には、いろいろあげたくなる」

 アベルがベルトに備えつけたポーチから、皮袋を取り出す。

「ぴう!」

「こら、アルト」

 飛びつこうとしたアルトを止めると、アベルが笑った。

「行儀よくしないなら、なしだぞ。リネットを困らせるんじゃない」

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