魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
「ぴぴぷ」

 その場におとなしく座るも、アルトの尻尾は左右にぶんぶん動いている。

 アベルは皮袋から乾燥した果物を取り出すと、アルトの前にかけらを置いた。

 冒険者の側面もある彼は、こういった携帯食料を常に持ち歩いているらしい。最近はアルトのために、ちょっぴり多めに持つようにしているのだと言っていた。

 しばらくアベルと雑談していると、髪を濡らしたノインが戻ってくる。

「まだいたのか」

「かわいい弟とまだ話していないからな」

「僕はそんなに暇じゃない」

 かわいい弟と聞いて、さっきアベルが言ったことを思い出す。

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