魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
 自分の弟をかわいいと思っているから、彼はせっせと素材を持ってくるのだろうか。

 いいな。私なんて前世では、奪われてばかりだったのに。

「ノインの分もお茶を淹れておいたよ。いつものやつ」

「どうも」

 アベルの隣に席を用意したのに、ノインはわざわざカップを手元に寄せて、私の横に座った。

「で、なんの用で来た? おまえが手ぶらで来るなんて、よっぽどの話があるんだろう」

「まったく、いきなり本題か?」

「無駄な時間を過ごすのは嫌いなんだ」

 今のは、翻訳すると『緊急事態なら、遠慮なく話してくれ』だ。

 ノインなりにアベルを気遣っているらしいけれど、言い方がひねくれている。

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