魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
「せめて一杯飲み終えるまでは、のんびりしたかったんだがな」

 アベルはまだ熱いお茶をぐっと飲み干すと、おやつをもらって満足げなアルトの首の後ろを指で掻いた。

「そろそろ親善試合の時期だ。今年はリネットに参加してもらいたいと、父上に言われている」

「親善試合?」

 耳慣れない言葉を繰り返す私に、アベルが困ったような笑みを向けた。

「ああ。君のいたカーディフ国との伝統行事でな。毎年、各国が代表する剣士、魔法師、錬金術師がそれぞれの部門で技量を競うんだ」

「そんなものがあったなんて知らなかったよ。魔法師もいるってことは、メルヴィル家も無関係じゃないはずだけど……」

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