魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
「……君の耳には届いていなかったのかもしれないな」

 思えば、家族が私を置いて出かける時期があったような気がする。

 のびのびと過ごせる自由な時間がうれしくて、彼らがどこでなにをしているかはあまり考えなかった。考えたところで、私は家族団らんの場に呼ばれないから。

「その錬金術師の枠に、君を推薦する声があがっている。ちなみに父上だけじゃなく、母上も俺も推した。議会の貴族たちにも話を聞いたが、おおむね異論はなかったな」

「私が……」

 国を代表する錬金術師に指名されても、喜びより戸惑いのほうが大きい。

「でも私には今、よくない噂があるよ。アルトのおかげで錬金術ができてるんだ、とか」

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