魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
 ノインには目立ってはならない理由があるのを思い出した。

「じゃあ、アベルは? 魔法も剣も使えるんだし……」

「こいつはだめだ。勝負にならない」

 アベルじゃなくてノインが答える。

「魔物が相手ならともかく、人間はな。手加減するのも相手に失礼だろう」

 否定しないアベルに、思わず苦笑いしてしまった。

 この人もまた、ノインのために完璧な王子であろうとしている。

 人間相手に負けられないのも、そういう気持ちからくるものだと思う。気持ちの問題だけじゃなく、本当に負けないだけの実力を身に着けているところは素直に尊敬した。

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