魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
 そんな姿を公の場で見せたら、私を推薦してくれた大勢の人に迷惑がかかる。

 ……怖かった。みんなが私に失望するところは見たくない。

「まさか、勝てなかったらどうしよう、なんて考えているんじゃないだろうな」

 テーブルに頬杖をついたノインが、焼き菓子をお茶で流し込んでから言う。

「おまえみたいな未熟な新米が、そう簡単に勝てるわけがないだろう。おこがましい」

 きつい言い方なのに、声は冷たくなかった。むしろ、優しく響く。

「負けたらまた、一から学び直せばいい。知りたいことがあるなら、僕が教えてやる。時間はいくらでもあるんだからな」

「……ありがとう、ノイン」

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