魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
 これはノインなりの激励だ。私が重く考えすぎないように、わざと突き放すような言い方をしている。

 やっぱりこの人はとても優しい。

 胸がいっぱいになって泣きそうになるのを、お茶を飲んでごまかした。

「さっきは私の実力を学んでこいって言ったのに。勝つものだと思って、言ってくれたんじゃないの?」

「そう聞こえたならそうなんじゃないか」

 無理をしなくていいとふたりは言うけれど、私に参加してほしい気持ちのほうが強いのは伝わってくる。

 でも、彼らが言うようにこれはいい機会なのかもしれなかった。

 嫌な噂を振り切るためにも、私自身の成長のためにも、塔の外へ出るべきだろう。

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