魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
 しれっとノインに言われて呆れてしまう。

「勝つなんておこがましいんじゃなかった?」

「簡単に勝つのは、だ」

 ああ言えばこう言う。ノインは錬金術よりも、私をやりこめるほうがうまいんじゃないだろうか?

「決まりだな。親善試合はひと月後だ。それまで体調管理には気をつけろよ」

「うん!」

 アベルの言葉にうなずいて、皿に残っていた焼き菓子を口に放り込む。

 これからまた、やらなきゃいけないことが増えそうだ。



 ひと月が過ぎるのは一瞬だった。

 あっという間に前日の夜を迎えた私は、国境の街にある宿にいた。

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