魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
……違う、空を覆うほどの巨大なものが私たちの頭上にいるのだ。

「おい、あれ……!」

「嘘だろ……」

 誰もが呆然とした声を漏らし、頭上を見上げて立ち尽くす。

 エミリアでさえ例外ではなかった。

空を見上げた彼女の視線の先にいるのは、ドラゴンだった。

禍々しい鈍色のドラゴンは、金属音にも似た激しい咆哮をあげると、私たちに向かって一直線に降り立つ。

「……っ、伏せろ!」

 私の真横を閃光が走り抜け、降り立とうとしたドラゴンに向かう。

 右の翼膜を正確に射抜いた光は、昨夜、私を襲った男を貫いたものと同じだった。

 翼をやられて体勢を崩したドラゴンが、地響きを立てて地面に落ちる。
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