魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
 恐ろしい状況でも退かずに立つアベルが、正面を向いたままノインの名前を呼ぶ。

「わかってる」

 まだなにも言っていないのに、ノインは苦々しい声で答えた。

 ちら、とアベルがこちらを振り返って困ったように笑う。

「悪いな。後のことは俺がなんとかする」

「今まで隠し事をしていたツケが回ってきただけだ」

 ノインの言葉を皮切りに、アベルが真正面からドラゴンと対峙する。淡い光に包まれた聖剣がきらめき、ドラゴンのうろこを貫いた。でも、致命傷にはならない。

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