魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
 錬金術師が魔法を使えないなんて、誰も言っていない。私がそうだから、ノインもそうなんだと勝手に思っていただけだ。

 でも彼は、私との生活で一度も魔法を扱う姿を見せなかった。水だってわざわざ塔の外まで汲みに行ったし、火を起こす時も魔道具を使っていたから。

 これが、ノインが塔の錬金術師にならなければならなかった本当の理由なんだと、今ようやく理解した。

 彼はエミリア以上に、そしておそらくアベルよりも優れた魔法師なのだ。

「ノイン──」

 なにもできない自分の無力さが情けなくて名前を呼ぶと、すぐ真横にドラゴンの尾が落ちた。

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