魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
 雷の先を見ると、アベルもまた私たちと同じように半透明の膜に包まれている。どうやらノインの魔法から身を守るものらしく、攻撃を受けたのはドラゴンだけだった。

耳をつんざくような叫び声をあげながら、巨躯がのたうち回る。砂埃が勢いよく舞うも、膜に覆われているからか、こちらには届かない。

「……さすがに、疲れるな」

 弱弱しくかすれた声がして、ぎゅっとノインを抱きしめ直す。

「無理しないで。私にできることはある?」

「ない。僕の腕の中にいろ。おまえにとってここが一番安全だ」

 ノインが私の肩に顎をのせて大きく息を吐いた。魔法を扱ってよほど体力を消耗したらしく、呼吸が浅い。

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