魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
 そうしている間に、アベルが光の剣を一閃させた。砂埃のせいでよく見えないけれど、首を落とそうとしたのだということはわかる。

 ドラゴンが最期の悪あがきに燃え盛る炎を吐き出したけれど、膜が私たちを炎からも守ってくれた。

 目の前を包み込んだ真っ赤な炎が消えると、激しい戦いは終わり、ドラゴンは地に倒れ伏していた。そのそばにアベルが立ち、剣を軽く振って血脂を払う。

「大丈夫か、ふたりとも」

 さすがに息を切らしたアベルは血と砂に汚れていた。頬にも擦り傷があるし、せっかくの正装も焼け焦げてぼろぼろになっている。

「僕は大丈夫じゃない。リネットは無事だ」

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