魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
 もともとノインは色白なほうだけど、今は蒼白と言っていいほど顔色が悪い。普段魔法を使わないのもあって、いきなり大技を出して消耗しきっているようだ。

「アベルも後でポーションをあげる。怪我してるでしょ?」

「このぐらい、怪我のうちにも入らないな」

 どこまで強がりなのか、アベルが肩をすくめて笑う。

「ドラゴンのように、魔力に惹かれた魔物が集まるかもしれない。俺はそっちを警戒しに行くから、ノインを頼んでもいいか?」

「うん、任せて」

 まだ動く元気があるらしいアベルに感心しつつ、もしかしたら今も完璧な王子であろうとして、無理をしているんじゃないかと不安にもなった。

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