魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
 よく隠せたなという感心と、よほど強固な意志を持って自分自身を隠し続けていたのだなという、切ない気持ちが込み上げる。

 同時に、今のアベルの言い方に引っかかりを覚えた。

「ノインは、ご両親にも隠していたのにアベルには教えたんだね」

「教えてもらったわけじゃない。俺と遊んでいた時に、いろいろあっただけだ」

「……なにがあったの?」

「俺が覚えたての魔法を使ったら、ノインが真似をして別邸を粉々にしたんだ」

 思っていたよりおおごとじゃないか。

 足を止めた私を見下ろし、アベルは苦笑する。

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