魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
「お互いに嫌な思い出しかないもんね」

「だったらわざわざ案内しなくていい」

 冷たく聞こえるけれど、これはノインの優しさだ。

「今はなにも思わないよ。……ううん、そこまでは言いすぎかもしれないけど。嫌だとか、悲しいとか、そういう気持ちはないんだ。ちょっと切ないだけ」

「……おまえが僕に見せたかったのはこの部屋か?」

「違うよ。もう行こうか」

 本当は屋敷の案内なんてしなくてもよかった。ただ、あの場所へ行くまでの時間を、できるだけ長引かせたかっただけで。



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