魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
 メルヴィル家の歴史が詰まった大書庫にやってくると、さすがのノインも驚いたようだった。ものすごい蔵書量だし、気持ちはわかる。幼い頃の私には、誰にもいじめられない逃げ場でしかなかったけれど。

「懐かしいな。こっちこっち」

 何度も通った道を行き、ノインを秘密の場所へと導く。

 途中でアルトが機嫌よさそうに歌い出した。ぴぷぴぷ鳴いているのがそう聞こえただけだけれど。

 慣れた仕掛けを解き、ノインとともに懐かしの秘密基地へたどり着く。

 大書庫を訪れた時と同じく、ノインはしばらくそこに立ち尽くして、周囲を見ていた。

「転移魔法……いや、人を遠距離に移動させる魔道具か……?」

< 444 / 466 >

この作品をシェア

pagetop