魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
 アルトを引きはがしながら言うノインは、なぜか少し楽しそうだった。機嫌よさそうな顔をしていると、アベルとの血縁を強く感じさせる。

 不思議なのは、アベルに対してなにも思わないのに、ノインの笑った顔を見ると胸が締めつけられることだ。

「騒ぎたいなら騒げばいい。僕に勝てると思うなよ」

「なにを張り合ってるの」

 ノインは自分を引っかこうとするアルトを持ち上げ、ぎりぎり顔が届かないところまで近づけて鼻で笑った。アルトはますます怒って手足を振り回し、ノインに遊ばれている。

 悪い人じゃないけれど、性格がいいかは別の話だとしみじみ思った。

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