皇太子殿下は護衛騎士を斯く愛せり
「騎士長さまは存外、小柄なのですね。私はもっと体格のよいお方だと思っておりました」

靴屋はソフィアの足のサイズを計り終え、意外だったと言う口ぶりで言った。

ソフィアは言われてみて、なるほどなと思った。

「軍服には威厳と強さを際立たせて作ってあるのではないか? 機能性も防御機能も兼ねてある」

ルイスは靴屋にそう話し、最後に「くれぐれも他言無用に」と靴屋を口止めした。

「先ほど何か訊ねようとしたな。何を言おうとした?」

ルイスは靴屋が帰った後、すまなさそうに聞いた。

「その……殿下は何故、市中のことにお詳しいのでしょうか」

「何だ、そんなことか」

「先ほどの殿下のお口ぶりは他人から聞いた情報ではないように感じました」

「察しがいいな。吾は退屈しのぎに、ふらり市中へ出かける。市中を歩けば色々な情報が手に入るさ」
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