皇太子殿下は護衛騎士を斯く愛せり
「物心つく前から剣を習い、鍛練を強いられ、父は私を士官学校に入れました。その一方で母は父に従うふりをして、私に淑女としてのたしなみを身につけさせて」

「なかなかにしたたかだな」

「そうですね。ですが私は後悔はしていません」

ソフィアはきっぱりと言い切った。

「マクドネル家は代々、騎士として皇族に仕えてきました。父はそれを父の代で途絶えさせるわけにはいかないと思ったのでしょう」

ルイスは嬉々として話すソフィアの様子を、じっくりと相づちを打ちながら聞いた。

今まで自分の周りに居なかったタイプの女子だと思った。

ルイスは今まで、ただ男の言いなりの、男を立て、受け身の女子ばかりを見てきた。

舞踏会でも、男が差しのべる手を待っている、男から声をかけられるのを待っている女子を、幾人も見てきた。

ルイスは「近衛騎士に女子がいる」と聞いた時、是非にでも会ってみたいと思っていた。
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