皇太子殿下は護衛騎士を斯く愛せり
焼き鳥に始まり、フランクフルト、焼きとうもろこし、フライドポテト。

ソフィアはフライドポテトまでは何とか食べたものの、もうどう頑張っても何も入りそうになかった。

ルイスが今、頬張っているのはフライドチキンだ。

「いつもこんなに食べられるのですか」

「そうだな。夕刻にはBALで酒をくみかわしながらーー」

「まだ飲み食いされるのですか?」

「市中には宮中の食事では食べられないものがたくさんある。それにBALでは歩き回るより効率的に貴重な話も聞ける」

「酒場にまで出向いておられるのですか」

「BALだけではないぞ。大衆浴場や大衆食堂や賭博場にも」

「王妃さまがお知りになったら、きっと腰を抜かされますよ」

「だろうな」

ルイスとソフィアがちょうど花屋の前にさしかかった時、6歳前後の子どもとすれ違った。

「泥棒だーー!! そのガキ捕まえてくれ」
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