皇太子殿下は護衛騎士を斯く愛せり
「店主、1番近い施設は何処だ?」

「えーーと、橋向こうの教会を西に1キロほど先に。行くんですか?」

「ああ、話を聞く」

「露店通りでも色々めんどうは見てるんですよ。経営が厳しいみたいで。かわいそうでね」

「そうかーー。兎に角、行って様子を。そうだ、子どもは着替えさせたら、しばらく頼む。後ほど迎えにくる」

「承知いたしました、行ってらっしゃいませ」

ルイスとソフィアは店主に見送られ、呉服屋をあとにした。

橋向こうの教会を先ず目指し歩き始めたが、ルイスはずっとしかめっ面だ。

「若。腑に落ちないのはわかりますけれど、そんなしかめっ面では聞ける話も聞けないかと」

「わかっている、わかっているが……」

「わたしたちは今、殿下と護衛ではないのです。若と……付き人」

「若さまの恋人だな」

「恋人!?」

「照れているのか」

「て、照れてなどいません」
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