皇太子殿下は護衛騎士を斯く愛せり
ソフィアは答えたものの、体の火照りを感じてい
た。

施設に着いた2人は、外見に比べ内装や窓などの粗末さに驚いた。

壁紙は黒ずみ、所々が剥がれ、ひび割れもある。

窓はひび割れをテープで応急処置、証明も電灯が切れかけなのかチカチカと点滅している。

椅子や机も、何処かの払い下げをもらってきたのかと思うほど傷んでいる。

「可哀想に」

ソフィアは思わず呟いていた。

「ここの管理者は? 話を聞きたいのだが」

ルイスは居てもたってもいられない様子で、訊ねた。

「呼んでまいります」

おどおどした様子で施設管理者を呼びにいった職員に伴われ、慌てて奥の部屋から出てきたのは、50代半ばの、やつれた女性だった。

「こ、皇太子様……」

ルイスの顔を見るなり「ハッ」とし、跪き深々と頭を下げた。

「皇太子様がこんな粗末な所にまで、足をお運びくださるなんて、ありがとうございます」
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