皇太子殿下は護衛騎士を斯く愛せり
職員数人も女性に習い跪いて、頭を下げた。

「こちらの管理を勤めております園長のアンネットと申します」

「そう畏まらなくともよい。面を上げよ」

お忍びで訪ねたというのに、あっさりと身分を見破られているわ-ーソフィアは思った。

が、ルイスはそれを気に止める様子もない。

「お忍びで参ったのだ。敬語は要らぬ。立ち話もなんだ、掛けて話そう」

跪いたアンネットに、サッと手を差しのべた。

「園への助成金は国から領主を通じて支給されているはずだが、足りぬのか」

ルイスの言う通りだ。

国家予算から毎月、領主を通じて園にはじゅうぶんな助成金が支給されている。

なのに、園のこの有り様はどう考えても納得できなかった。

ルイスはガチガチに緊張しているアンネットの手を引き、木製でガタついた椅子に腰かけた。

「申し訳ございません。皇太子様をそのような粗末な椅子に」
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