皇太子殿下は護衛騎士を斯く愛せり

「構わぬ。園は困窮しておるのだな」

「……はい、観ての通りでございます。内装や備品の修理も子どもたちへの賄いさえも……」

アンネットは話ながら涙ぐみ、アンネットにつられ職員たちも啜り泣き始めてた。

「それが……領主様が変わられてから数年、園に助成金は殆ど支給されていないのです。領主様から毎月いただいたお金では１週間分の賄いにも足りないのです」

ルイスもソフィアも驚きのあまり、言葉もなかった。

ルイスは膝の上で拳を震わせている。

「なんということか。申し訳ない。助成金がそのようなことになっておったとは……。知らなかったでは済まされぬ」

「皇太子様がお謝りになることでは……」

「いや、これは皇族として恥じ入ることだ。アンネット。至急調査いたして支給されなかった分も遡り、支払いをさせてもらう」

「皇太子様、ありがとうございます」