皇太子殿下は護衛騎士を斯く愛せり
ルイスは粋な計らいだ、靴屋は吾の気持ちを先読みしているのかと考えると、顔が熱かった。

「舞踏会でガラスの靴を落としたご令嬢、まだ見つからないのね」

ルイスとソフィアが靴屋の前を通った時だった。

靴屋のショーウィンドウを眺めて、貴族の娘が数人で話していた。

「若の差し金ですか? 靴屋を抱き込み、ガラスの靴の令嬢探しとは」

ソフィアは靴屋のショーウィンドウを確かめるなり、ルイスに食ってかかると、ルイスの数歩先にスタスタと歩き出した。

怒った顔もチャーミングだーールイスは益々、ソフィアが気に入った。

ルイスが女王に冗談のつもりで言った件は誰にも話していない。

女王もガラスの靴の令嬢が、まさかソフィアだとは気づいていないようだ。

そもそもガラスの靴の令嬢など、ルイスがでっち上げたことだ。

見つかるはずがない。
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