私はあと何回、彼に恋をするのだろう 〜仕事とストレスと、そして恋と〜
ゆっくりと瞼を持ち上げると、見慣れない部屋の景色が目に入った。

ここ・・。
身体の向きを少し変えると、すぐ横に彼の寝顔があった。

蓮斗・・。

そっと近づいて、お互いの唇を触れさせる。

それだけでは足りず、何度か食むようにしていると彼が身じろぎした。

「ん・・んん。さ・・え?」

「ふふ、起こしちゃった?」

「・・いいよ、後でまた寝るから・・それより・・」

「ん?」

「・・目が覚めても紗絵がいて良かった。それに紗絵のキスで起きるとか、ちょっと感動」

おいで、と彼は私を抱き寄せ、額や瞼、頬を唇でなぞる。
くすぐったいような、でも時々、腰の辺りがゾクっとするような触れ方だ。

「紗絵・・寒くない?」

「う・・ん、大丈夫。ね、蓮斗は今日お休みなの?」

「あぁ、今日は夜勤なんだ。夜から、明日の朝までね」

「そっか」

「紗絵・・ちゃんと寝れた? 狭くて落ち着かなかったんじゃない?」

「そんなことない。蓮斗は? 寝れたのかな・・」

「俺はしばらく起きてたけど、ちゃんと寝たよ。
なんか信じられなくて、ずっと紗絵の寝顔見てた」

「やだ〜、絶対ゆるんだ顔してたよね・・」

「アハハ」

笑ってすぐ、彼はふいに寂しそうな顔をした。
蓮斗・・?

「紗絵・・・・次は・・ある? 俺はもう紗絵を離したくないと思ってるけど、紗絵は・・」

彼は言葉を切った。
その後に、何を言おうとしたのかは分からない。

私は言葉の続きを待たずに、彼の胸に顔をうずめて言った。

「私も・・離さない・・から」


私は再び、彼の熱を受け入れた。
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