私はあと何回、彼に恋をするのだろう 〜仕事とストレスと、そして恋と〜
私が出勤するギリギリの時間までベッドにいて、お互いがいくつだとか、どんな仕事をしてるかとか、今まで知らなかったことを少しずつ埋めていった。
彼はひとつ歳上の37歳だった。
「あー、そろそろ、準備しなきゃ・・」
時間を確かめ、ようやくベッドを出る。
服を着ようとして、ふと気づいた。
「そうだ・・。どうしよう」
「ん? 何が?」
「昨日帰ってないから服が無い・・。さすがに昨日と同じシャツは着ていけないし」
「紗絵、休日出勤も普段と同じような格好で会社行くの?」
「そんなことないよ。わりとみんなラフな感じで来る」
「だったら俺のシャツ着て行ったら? クローゼットに掛かってるから、好きなの選んで」
「え、いいの?」
「俺ので良ければ。少し大きいかもしれないけどね」
いくつかある中からピンクのシャツを選び、袖を通す。
何回か袖をまくると、いい感じの長さになった。
「これ借りるね。言わなければ誰にも気付かれないだろうけど、蓮斗の服・・なんだかちょっと恥ずかしい」
「可愛いな、紗絵」
ストレートに言われて、思わず俯く。
返す言葉が、見つからなくて。
「明日も、明後日も、紗絵と一緒にいられたらいいのに・・」
彼もシャツに着替えながら、そうつぶやいたのが聞こえた。
そんなふうに思ってくれたのが嬉しくて、私は思い付きを口にしてみた。
「蓮斗・・。私・・今日仕事が終わったら、またここに来てもいい?」
「え?」
「でも、蓮斗がゆっくり休めないか・・」
「紗絵、手だして」
クローゼットの引き出しをゴソゴソと探った後、あげる、と何かを乗せてくれた。
これ・・。
「え? 鍵・・だよね?」
「ここのね。無くさないでよ」
「こんな・・いいの?」
「うん。いつでも来て」
手のひらの鍵をぼんやり眺めていると、時間大丈夫?と彼が促すように言う。
時計を見ると、出社時刻まで1時間を切っていた。
「あ、もう行かなきゃ!」
「送っていこうか?」
「ううん、大丈夫」
「そっか、じゃ、また明日だね。俺、仕事中はほとんどスマホ見れないけど、メッセージ送って」
「うん。じゃあ、行ってきます」
「気を付けてね、紗絵」
『行ってらっしゃい』のキスをもらって、私は彼の家を後にした。
彼はひとつ歳上の37歳だった。
「あー、そろそろ、準備しなきゃ・・」
時間を確かめ、ようやくベッドを出る。
服を着ようとして、ふと気づいた。
「そうだ・・。どうしよう」
「ん? 何が?」
「昨日帰ってないから服が無い・・。さすがに昨日と同じシャツは着ていけないし」
「紗絵、休日出勤も普段と同じような格好で会社行くの?」
「そんなことないよ。わりとみんなラフな感じで来る」
「だったら俺のシャツ着て行ったら? クローゼットに掛かってるから、好きなの選んで」
「え、いいの?」
「俺ので良ければ。少し大きいかもしれないけどね」
いくつかある中からピンクのシャツを選び、袖を通す。
何回か袖をまくると、いい感じの長さになった。
「これ借りるね。言わなければ誰にも気付かれないだろうけど、蓮斗の服・・なんだかちょっと恥ずかしい」
「可愛いな、紗絵」
ストレートに言われて、思わず俯く。
返す言葉が、見つからなくて。
「明日も、明後日も、紗絵と一緒にいられたらいいのに・・」
彼もシャツに着替えながら、そうつぶやいたのが聞こえた。
そんなふうに思ってくれたのが嬉しくて、私は思い付きを口にしてみた。
「蓮斗・・。私・・今日仕事が終わったら、またここに来てもいい?」
「え?」
「でも、蓮斗がゆっくり休めないか・・」
「紗絵、手だして」
クローゼットの引き出しをゴソゴソと探った後、あげる、と何かを乗せてくれた。
これ・・。
「え? 鍵・・だよね?」
「ここのね。無くさないでよ」
「こんな・・いいの?」
「うん。いつでも来て」
手のひらの鍵をぼんやり眺めていると、時間大丈夫?と彼が促すように言う。
時計を見ると、出社時刻まで1時間を切っていた。
「あ、もう行かなきゃ!」
「送っていこうか?」
「ううん、大丈夫」
「そっか、じゃ、また明日だね。俺、仕事中はほとんどスマホ見れないけど、メッセージ送って」
「うん。じゃあ、行ってきます」
「気を付けてね、紗絵」
『行ってらっしゃい』のキスをもらって、私は彼の家を後にした。