私はあと何回、彼に恋をするのだろう 〜仕事とストレスと、そして恋と〜
週末のシステムトラブルは、メンバーの頑張りでなんとか期限までに片付いた。
メンバーには休みを取らせたものの、私は報告業務があり、そのまま週明けを迎えることになった。

「紗絵ちゃん!」

「あ、さつき〜。お疲れさま」

「紗絵ちゃん、聞いたよ。休み無しで大丈夫?」

「大丈夫じゃないけど、報告あるからしょうがないよ」

「そうだけど・・。あ、これ差し入れね」

さつきが差し出した紙袋を開けると、カフェのサンドイッチとクッキーが入っていた。
緊張の糸が緩んで、同時に涙腺も緩んだ。

「さつき〜、嬉しい」

「やだ紗絵ちゃん、泣いてるの?」

ほらほら、とティッシュを何枚か取り出し涙をふいてくれた。
さつきは苦笑いしながら、優しい言葉をかけてくれる。

「紗絵ちゃん・・どうしてもキツくなったら、休むって言っていいんだよ」

「えっ」

「こんなふうに、ちょっとしたことで涙が出るなんて、普通じゃないから。自分じゃ気付いてないだけで、結構ダメージあるんだからね」

「さつき・・・・」

「ごめん、バタバタしてて。また来るね。これから来客があって戻らないと」

「うん、ありがとう」

「絶対無理したらダメだからねー!」

言われてみれば・・。
このところ確かに涙がよく出る。

彼の前でも、ちょっとしたことで泣いている気がする・・情緒不安定なんだろうか。

トイレに行こうと立ち上がったところで、またフラリとめまいがした。

おかしいな・・。
彼も気遣ってくれて、ちゃんと薬も飲んでるのに。
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