私はあと何回、彼に恋をするのだろう 〜仕事とストレスと、そして恋と〜
「・・・・ぇ・・。・・・・さ・・ぇ」


「え・・? 蓮斗?」

今、『さえ』って呼んでくれた?

彼の手を握る私の手に、思わず力が入った。


「・・ぃ・・た・・ぃ・・さ・・ぇ」


「蓮斗・・あぁぁ・・」

ぼろぼろぼろぼろっ。

あっという間に私の目には涙の膜が張り、すぐに決壊して、涙の落ちる音さえ聞こえたような気がした。

私の頬に置かれたままの彼の指が、ゆっくりと涙を掬うように動く。

「・・さ・・ぇ」

「れん・・と・・」

「・・なく・・な・・ょ・・・・さ・・ぇ」

彼の目からも、スーッと涙がひと筋流れ落ちる。


「蓮斗だって・・泣いてるじゃない・・」

それを聞いた彼が私の方に顔を向け、ふっ・・と微笑んだ気がした。

「かい・・だん・・お・・ちて・・」

「うん・・」

「あた・・ま・・ぶつ・・け・・て・・」

「うん・・」

「もぅ・・・・だめ・・か・・と」

「うん・・」

「もぅ・・あぇ・・なぃ・・か・・と」

「蓮斗・・」

「あぃ・・たかっ・・た・・さぇ」


思わず、ベッドに横たわる彼に、覆いかぶさるようにして抱きついた。
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