私はあと何回、彼に恋をするのだろう 〜仕事とストレスと、そして恋と〜
メンチコロッケサンドを食べながら、さっきの出来事を思い出していた。
まさか・・サンドイッチが縁で、男の看護師さんと知り合うことになるとはね。

坂本さん。
年齢は、同年代くらいだろうか。
背はそんなに高くなくて、身体はちょっとガッチリめで、顔は・・誰かに似てた気がする。

って・・私、あの短時間で観察しすぎじゃない?

考えてみたら、まともに男性と話すのは家族か仕事関係ばかりで、それ以外で話をしたのは・・いつ以来だろうか。

付き合っていた人もいたけれど、それだって仕事関係ばかり。
いま思えば、ずいぶん狭い世界だ。

冷たいお茶でも飲もうと立ち上がると、また少し視界が揺れる。

そうだ、薬。
しまいこんでいた貧血治療用の鉄剤を取り出し、白湯で飲み込む。

この鉄剤・・何か成分が強いんだろうか。
久しぶりに飲んだのに、なんだか胃が痛む。

少し疲れもあって、ドサッ、とベッドに横になる。
痛みを我慢しつつ目を閉じると、バス停に走っていった坂本さんが浮かんだ。

またいつか会えるかな・・。

久しぶりに感じたフワフワとした思いが、なんだかくすぐったかった。
< 7 / 85 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop