私はあと何回、彼に恋をするのだろう 〜仕事とストレスと、そして恋と〜
「紗絵、師長と、何話したの?」

「うん・・。蓮斗のこれからのこと、だよ」

それを聞いた彼は、表情を曇らせる。

「これから・・俺、長く休むことに、なるのかな」

「ううん、それがね・・」

私は彼に、師長さんの思いを伝えた。

患者さんの相談相手になってほしい。
完治するまで、むしろ重点的にその部分をフォローしてもらえたら助かる、と。

「ほんと・・?」

「うん」

「いまみたいな、俺でも、役に立てる・・」

そうつぶやいた表情から、曇りが晴れた気がした。

「うん。長く休むなんてもったいないって、蓮斗は必要な人だから・・って」

「嬉しい・・」

ニコッと笑った顔が、やっぱり素敵だ。

そして彼だけじゃなく、私も嬉しい。
彼が職場で大事にされていることが、すごく嬉しい。

「でも、さ」

「うん」

「俺、具体的に、何をすればいいんだろう」

「あ、それなんだけど。もし良ければ、蓮斗と一緒に勉強してみない?って、お誘いいただいたの」

「え、紗絵も、一緒に?」

「うん。IT系は病んでる人も多いし、参考になるんじゃないか・・って」

「よく聞くよね・・そっか、紗絵と一緒か・・勉強なのに、なんか楽しみだなー」

「ほんとだね」

私が病気をして、その後に彼がケガをして。

考えようによっては辛いことが続いたのに、こんなふうに笑い合えるのが、とても尊いことなのだと思った。
< 70 / 85 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop