私はあと何回、彼に恋をするのだろう 〜仕事とストレスと、そして恋と〜
蓮ちゃん・・。

蓮ちゃん・・。


思考の中に、ぼんやりと男の子が浮かんでくる。


あれは確か・・。


真夜中、薄明かりの病室で、私は苦しんでいた。
呼吸も荒くて、声もうまく出せなくて。

ナースコールを押したかったけれど、手を伸ばしても届かなかった。


誰か・・誰か助けて・・・・。


そんな私の異変に気付いてくれた男の子。
カーテンを開けて、『大丈夫?』と声を掛けてくれた。

私は首を横に振ることしかできず、そんな私を見て、男の子がナースコールを押してくれたのだ。


男の子の輪郭が、少しずつハッキリしてくる。


「え・・あの時の男の子、蓮斗・・なの?」

「やっと気付いた? 遅いよ・・紗絵ちゃん」

彼が楽しそうに笑っている。

「だって信じられない・・こんなことって、本当にあるの?」

「まぁ・・そう思うよね。俺もかなり驚いた」


彼は・・蓮ちゃんは私より4日ほど早く入院していた。
何の病気かは分からないけれど、私が入院した頃にはかなり元気だった気がする。

マンガを読んだり、ゲームをしたりして過ごしていたから


「俺、あの時、医者になろうかな・・なんて考えてた。紗絵も治してやれるし。でも、紗絵がさ・・」

「え、私?」
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