私はあと何回、彼に恋をするのだろう 〜仕事とストレスと、そして恋と〜
「いや、いいんだ。無理に思い出さなくていいよ。昔のことだし」

「そうだけど・・私、もしかして、ものすごく失礼なこと言ったりしたのかな」

「え? 例えばどんな?」

「・・蓮斗に医者はムリ・・とか」

彼がポカンとした表情で私を見つめる。

「紗絵・・おもしろいこと言うね」

「違う? 言ってない?」

「それは言われてないな」

「はぁ、良かった・・」

でも、他に思い当たることが・・無いんだけど・・。


「ね、蓮斗。ヒントちょうだい?」

「え、また? さっきあげただろー」

「蓮斗、お願い!」

顔の前で手のひらを合わせ、お願いポーズをする。

「しょうがないなー。じゃあさ、俺が退院した日のこと、覚えてる?」

「蓮斗が退院した日?」

蓮ちゃんは歳が近かったから、話も合ったし、一緒にゲームもした。
それは覚えているけれど、退院の日・・ねぇ。

「何か大事な話、したっけ?」

「んー、直接は話してないんだけど・・」

直接は話していない・・。

ということは、彼が誰かと話しているのを私が聞いたのか、私が誰かと話しているのを彼が聞いたのか。

どっち・・?
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