私はあと何回、彼に恋をするのだろう 〜仕事とストレスと、そして恋と〜

第５章 誓い

「紗絵！」

仕事を終えた彼が、通用口から少し離れたところで待っていた私に手を振る。

「お待たせ。迎えに来てくれるなんて嬉しいよ」

「うん。外出先がここから近かったから、一緒に帰ろうと思って直帰にした」

「あ、紗絵、あと５分でバス来る！」

彼は私の手をつかんで、バス停に向かう。

「あっ･･」

ドキドキ･･。

実は最近、『蓮斗愛』が止まらない。
いくつかの出来事を乗り越えて、それが少し落ち着いた今、夫としてそばにいてくれる彼に改めて恋をしている。

「ん？　どうした、顔が赤いぞ。熱でもある？」

顔をのぞき込まれ、彼の手が私の額に触れる。

「熱は無さそうだけど･･。紗絵、最近なんかポーッとしてること多いよね」

「それは･･その････」

「ん？」

「蓮斗のことが好きで･･」

「えっ？」

「ドキドキしてるから」

「･･それは･･不意打ちだなぁ･･」

そう言って立ち止まり。
ほんの一瞬、触れるくらいに唇を合わせる。

一瞬すぎて、目を閉じることさえ間に合わなかったくらいだ。

「もぉ、不意打ちは蓮斗じゃない･･」

「じゃあ、もう一回？」

「･･もう一回」

ひと気の無いバス乗り場の陰で、私たちはもう一度唇を合わせた。