7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
すっかり日が沈んで夜になった頃。
奏弥は凜の住んでいるアパートにやって来た。
夜になると灯りがついて、公園も街灯で明るく照らされている。
ちょっと緊張した面持で、奏弥は凜が住んでいる部屋のインターフォンを押した。
呼び鈴が鳴ると、バタバタと足音が聞こえて来てかチャッと玄関が開いた。
玄関を開けて出て来たのは、上目遣いがどこか凜と似ている感じの男の子だった。
聖龍とは違う感じだ…。
「こんばんは、お母さんはいるかな? 」
男の子はじーっと奏弥を見つめている。
「お兄ちゃん、どうしたの? 」
部屋の奥から聖龍が出てきた。
2人の男の子が揃ったのを見ると、とてもよく似ている。
どうやら双子のようだ。
「…パパがきてくれた…」
聖龍がボソッと言った。
「どうしたの? 聖龍、凛太郎(りんたろう)」
奥からエプロンをつけた凜が出てきた。
「あ…こんばんは」
奏弥の姿を見ると、凛は驚いた半面困ったような目を浮かべた。
「…入れば? 」
お兄ちゃんと呼ばれていた凜太郎が言った。
「あ、夜ご飯だよね? 邪魔しちゃいけないから、また出直してくるね」
ヨシヨシと凜太郎の頭を撫でた奏弥の腕を、聖龍が引っ張った。
「なんで帰るの? ママに会いに来たんでしょう? 」
ムスっとした顔で聖龍が言った。
「そうだよ。でも、ご飯の邪魔してはいけないから」
「邪魔じゃないよ。…今日、パパが来るの分かっていたから。ご飯、多めに作ってもらったよ」
「え? 」
「カレーだよ。沢山あるから、食べて行けば? 」
嬉しい…。
奏弥は素直にそうも思った。
素直じゃない口調は、翔次にそっくりな聖龍。
だけど優しい気持ちは凜とそっくりで。
奏弥は思わず聖龍をギュッと抱きしめた。
抱きしめられた聖龍はびっくりした顔を浮かべたが、ちょっと頬を赤くしていた。
「いいかな? おじちゃんが、家に入っても」
聖龍を抱きしめたまま、奏弥は凜太郎に尋ねた。
「うん…。ママ、いいでしょう? 」
凜太郎が尋ねると、凛はちょっと戸惑っていたがこくりと頷いた。
部屋の中に入ると、リビングの食卓には夕食のカレーが用意されていた。
美味しそうなポテトサラダもあって、カレーの具材は沢山入っていて見ているとヨダレガ出そうなくらいだった。
「狭いですが、どうぞ座って下さい。夕食まだでしたら、召し上がって行かれますか? 」
「いいの? すごく美味しそうなカレーだから、食べたかったんだ。有難う」
凜太郎が椅子を引いてくれて、奏弥を座らせてくれた。
「有難う」
奏弥の向かい側に、凜太郎と聖龍が座ってカレーを食べ始めた。