7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…

 食べ終わった食器をシンクに運んだ凜が、洗い物を始めた。

「あ、俺がやるから。座っていて」

 凛の傍に歩み寄った奏弥が声をかけると、凛は驚いた顔を向けた。

「たまには楽をしたっていいんだよ。その為に、俺がいるんだから」
「でも…お客様に、そんな事はさせられませんから」
「何を言っているの。俺はお客じゃないよ」

 言いながら袖をまくって、スポンジを手に食器を洗い始めた奏弥。

「すみません…」

 洗い物をしている奏弥の背中を、そっと見つめた凜。


 短い間だったけど、一緒に暮らしていた翔次もこうして洗い物をしてくれていた。
 凛がご飯を作っても、洗い物はするからと言って。
 奏弥の背中を見ていると、翔次と重なって見えてくる。

 翔次が亡くなってもう4年経過しようとしているのに、今更ながら昨日の事のように思い出される事に、凜の胸は苦しくなった…


 奏弥が洗い物をしてくれているうちに、凜太郎と聖龍がお風呂に入れるように準備をした凜。

 狭いユニットバスだが、いつも凛太朗と聖龍は一緒に入っている。


「さぁ、2人共お風呂にはいりなさい」

 凜に呼ばれると、凜太郎が奏弥の傍に駆け寄って行った。

「ん? どうした? 」

 洗い物を終えた奏弥が凛太朗を抱きかあげた。
 見かけよりも軽くて、抱き上げてみるととても可愛らしくて、聖龍は皇子様のような顔をしているが、凛太朗はお姫様のような顔だちをしている。

「…お風呂、一緒に入ろうよ」
「え? 」
「僕、パパと一緒にお風呂に入った事ないから」

 奏弥はそっと凜を見た。
 凜はどうしたら良いのか分からない顔をしていた。

「ママ、おじちゃんと一緒にお風呂に入っていいでしょう? 」
 聖龍が凜の袖を引っ張って言った。
「もう遅い時間だから、引き止めてはダメよ」
「だって僕、おじちゃんと離れたくないもん! 」
 口を尖らせて怒った顔をした聖龍に、凛は困ってしまった。

「俺は構わないよ。どうせ、帰って寝るだけだし。明日は仕事も休みだから、急がないから」

 どうしよう…。
 この子達が、ここまで言う事は今までなかったけど。
 
< 102 / 158 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop