7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
 
「奏弥、その子は…」
「この子は、凛さんの子供だよ」
「え? もしかして…」
「そっ、翔次の子供。よく似ているだろう? 小さい頃の翔次に」
「ああ、そっくりだ」

 チラッと聖龍は疾風を見た。

「名前は何ていうの? 」
 尋ねても聖龍は何も答えることなく、プイッとそっぽを向いた。

「ごめん、ごめん。この子の名前は聖龍って言うんだ。ちょっと人見知りだから」
「いい名前だね。聖龍君、私はお爺ちゃんだよ」

「嫌い! あっち行け! 」

 そっぷを向いたまま聖龍が言った。

 疾風はショックを受けたが、なんとなく翔次が言いたかった事を聖龍が言っているように感じた。
 いつもニコっと笑っていた翔次だが、本当は聖龍のようにそっぽを向いて怒りたいときもあったに違いない…。 
 でも「嫌い」って言われた言葉には、悲しい気持ちを感じた疾風。

「それより、何かあった? 家まで来るなんて」
「ああ、まぁその事は後から電話するよ」
「そっか。じゃあ、俺はこれからこの子を連れて出かけるから」
「そうか。だが、いつの間に凜さんの子供と仲良くなったのだ? 私にも、教えてくれればよかったのに」
「俺も昨日会ったばかりだよ」
「昨日? 」
「前に、凜さんがここにいたことがあって。その時、家まで送ったんだけど。昨日は、何となく気になって家に尋ねて行ったら。聖龍君と、もう一人の双子のお兄さんの凛太朗君に会えたんだ」

「双子なのか? 」
「ああ、凛さんが一人で育てているようだよ」
「なんてことだ…。全く…私は、どこまで嫌われているのだろうか…」

 悲しそうな目をした疾風を、チラッと聖龍が見た。

「父さん。嫌われているわけではないから、心配する事はないと思うよ。凜さんは、翔次が亡くなって気を使っているだけだから。少し時間が立てば、歩み寄れると思うよ」
「そうだな。…それにしても、とっても可愛いね」

 よしよしと、聖龍の頭を撫でた疾風。
 聖龍は奏弥の腕の中から、チラッと疾風を見ていたが、どこか怒った目をしていた。




 駅前の時計台。

 着替えを済ませた奏弥が、聖龍と一緒にやって来た。
 待ち合わせをしていた凜と凛太朗も来ていた。

 動物園に行く為、凛はスポーティーな格好で凛太朗もズボンにトレナー姿でやって来た。

 合流した奏弥と凜は、そのまま電車で動物園に向かう事にした。


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