7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…

 金奈駅から2駅の所にある、わりと大きな動物園。

 凜太郎と聖龍は手をつないで歩き始めた
 その後ろを見守りながら凜と奏弥が歩いてゆく。


 凛太郎はお兄ちゃんだけあって、聖龍を守っているように見える。
 手を繋いでいても、聖龍は好奇心が強くあちこちを見て本能のまま動いているようだ。
 そんな聖龍が迷子にならないように、凛太朗がしっかり手を繋いで護っている。

「いいね、双子って」
 不意に奏弥が言った。
「同じ日に一緒に産まれて来ても、それぞれの役割はちゃんとわかっているんだね。俺は、翔次と双子だったけど。お兄ちゃんらしいことは、何一つできなかったから」

 凜太郎と聖龍を見ている奏弥が、少しだけ悲し気な目を浮かべていた。

「あのさ。聖龍君が、俺に一番最初に言った言葉があるんだ」

 え?
 なんなんだろう? と、凛は奏弥を見た。

「聖龍君に会ったのは、お昼休みに立ち寄った公園だった。保育園から遊びに来ていたようで、聖龍君の方から俺に近づいて来てじっと見ていたんだけど。俺が声をかけると「パパとして選んで産まれて来たのに、どうしてママと一緒にいないの? 」って、言われたんだ」
「聖龍がそんな事を? 」
「ああ。びっくりしたけど、なんだかその言葉がずっと胸に刺さっている。なんとなく、翔次に言われているような気がして」
「そう…」

 凜太郎と聖龍は、キリンを見て大喜びしている。
 だがよく見ていると、凛太朗は素直に笑っているが聖龍は笑っていてもどこか冷めたような目をしている。
 子供ながらいつも聖龍はどこかシレっとして冷めている。
 そんなところは翔次とそっくりである。

「俺は、ずっと翔次より先に死ぬって思っていた。こうして、一緒に動物園に来た事もないし。殆ど入院している事が多くて、翔次と一緒に寝たこともないから。凛太朗君と聖龍君を見ていると羨ましいよ。…今更だけど、もっと翔次と一緒にいたかったって思うんだ…」
「私も、家族でどこかに行く事はあんまりなかったので。養女だった姉とも、一緒に出掛ける事はなかったかな。周りのみんなが、お父さんはすごい職業の人なんだねって言って来ても。嬉しくなかったから…。忙しくて、家にいない事ばかりで。話しすら聞いてくれない親なら、いない方がマシって思っていたから」

 寂しげな凜の表情を見ると、奏弥の胸がキュンと痛みを感じた。
< 115 / 158 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop