7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
金奈総合病院。
ICUに入院している2人の夫婦がいる。
桐野宮幸治(きりのみや・こうじ)と桐野宮友里(きりのみや・ゆうり)。
3日前に救急搬送されて来た2人は、食中毒で運ばれてきたが処置をしても一向に回復しない為ICUに入っている。
コツン…コツン…。
足音が近づいて来て、一人の看護師が現れた。
白いナース服に身を包んでいるが、キツネのような怖い目つきをしている。
肩まで届く黒髪を後ろで結って、少し小太りな感じで推定年齢は40歳前後のようだ。
名札がついていて「桐野宮さやか」と書いてある。
「フフッ…。随分と効いているのねあの薬…」
ニヤッと笑ったさやかは、注射器を取り出して幸次と友里に注射した。
「すぐには死なないから大丈夫よ。…凜の奴が、あの男を殺してくれるまでは生かしておいてあげるわ。…」
不敵な笑いを浮かべて、さやかはそのまま去って行った。
ICUを出て来たさやかは、そのままナースステーションへ戻って来た。
そ知らぬふりをして、カルテの記入を始めるさやか。
「桐野宮さん、お客様がいらしているわよ」
他の看護師がさやかを呼びに来た。
さやかはロビーへやって来た。
するとそこには、黒い高級スーツに身を包んだ一人の男性が立っていた。
後ろ姿からスラっとしたかなりの長身で、柔らかそうな茶色髪がサラサラとなびいていた。
さやかの足音に気づき、男性がゆっくりと振り向いた。
振り向いた男性は、翔次の部屋にあった写真に写っていた男性と似ている。
「私に何か御用ですか? 」
さやかが尋ねると、男性は名刺を取り出して渡した。
「初めまして、如月奏弥(きさらぎ・そうや)と申します」
名前を聞いて、さやかは名刺を見た。
名刺には国際弁護士の肩書が書かれていて、オフィスビルの一角で法律事務所を運営しているようだ。
「弁護士? なんで、私に会いに来たわけ? 」
「はい。実は、この病院の男性医師から貴女に対して慰謝料請求がなされていますので仲介人としてやってきました」
「慰謝料? 」
「迫田次郎(さこた・じろう)医師をご存知ですよね? 」
「ええ、同じ科の医師ですから」
「貴女は、迫田医師と深い関係だったようですね? 」
一瞬ギクッとした表情浮かべたさやかだが、冷静さを保った顔をして奏弥を見ていた。