7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…

「ごめんね母さん、せっかく作ってくれたけど。聖龍君は、自分で選んだおにぎりを食べるのが楽しみだったようなんだ」
「そう…。じゃあ、これはとっておくから。明日の朝にでも食べてね」

 オムライスにラップをかけ、冷蔵庫に閉まった奏はちょっと悲しげな目をしていた。
 そんな奏をチラッと見ていた聖龍。


「じゃあ、私はそろそろ帰るわね。聖龍君は、今日はお泊りなの? 」
「ああ、聖龍君が泊まりたいと言い出して。連れて来たんだ」
「そうだったの。奏弥一人で大丈夫? 」
「え? 」
「だって、貴方子育てもした事がないじゃない? 小さな子の面倒だって、見たことないんじゃないの? 」
「まぁ、そうだけど」

 奏では少し迷った目を浮かべたが。
「今夜は、私もここに泊るわ」

 え?
 
 聖龍はムスっとして奏を見た。

「奏弥は体が弱いから、何かあったら心配だもの」
「何を言っているんだよ。もう、すっかり元気になっているって」
「いいの、いいのっ。男だけよりも、こうゆう時は女がいた方がいいのよ」

 女がいた方がいいって。
 確かに母さんも女だからいいんだけど。

 奏弥は聖龍がムスっとしている事が気にないっていた。
 疾風を見た時も同じだった。

 なんとなく、翔次が生きていたら同じ事をしているような気がすると奏弥は思った。


 結局コンビニで買ってきたおにぎりを食べて夕食を済ませた聖龍。
 
 夕食が終わると奏がお風呂を用意した。

 
 

 聖龍は奏弥と一緒に入ると言った。
 子供をお風呂に入れたことがない奏弥だったが、何とかなるだろうと言って聖龍と一緒に入ってくれた。


 体を洗ってくれる奏弥を、聖龍はじっと見ていた。

「どうかしたか? 」
 あまりに身見られることで、奏弥は聖龍が何か言いたそうな気がした。
「…なんで…ママと結婚してくれなかったの? 」
 あの時と同じ目で尋ねてきた聖龍に、奏弥は胸がキュンとなった。
 
 公園で初めて会った時。
 じっと見つめてきた聖龍…「パパとして選んで産まれて来たのに…」と、奏弥を見て言った聖龍。

 なにを言われているのか奏弥は分からなかったが、何故か胸を撃たれた。
 
「…ごめん…。勇気がなかったんだ…」
 聖龍の体をきれいに洗った奏弥は、そのまま一緒に湯船につかった。

「聖龍君のまマと、やっと気持ちが通じ合えたと思ったんだけどね。…その後に、ずっと口もきいてもらえなくて。嫌われてしまったと思い込んでしまったんだ。だから、歩み寄って行く勇気がなかった。…俺が、意気地なしだから悪いんだけどね…」
「…じゃあ今なら、ママと結婚してくれる? 」

「そうしたいと願っているよ。でもこれは、ママの気持ちもあるからね」

 聖龍は小さく頷いた。
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