7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…

 寝室に来た奏は聖龍の持ってきたリュックの中を見たが、パジャマの余分は入っていなかった。
 どうしようか迷ったが、とりあえず奏弥のパジャマを持って行き着せる事にした。


 ソファーでは聖龍がぐったりと寝ている。

 奏が戻ってきて、聖龍を着替えさせるためにパジャマのボタンに手をかけると、バシッ! と、か弱い力で叩かれた。

「…触るな! 」
 弱々しい声で言われて、奏は胸がキュッと痛くなるをの感じると共に悲しい気持ちが込みあがってきた。
「…ほっとけ! …ずっと…ほっといたくせに! 」
 虚ろな目を少し開いて、聖龍は奏を睨んできた。
 そんな聖龍を見た奏は、翔次の姿と重なって見えてまさか! と、思った。
「お前なんか…嫌いだ! 」
 
 間違いない…この子は翔次だ!
 奏はそう思った。

「いいわ嫌いでも」
 ん? と、聖龍は奏を見た。
「だって、悪いのは私だもの。熱を出して苦しんでいる貴方の事を、ほっといたって言われても否定できないもの」
 聖龍を見ていた奏の目が潤んできた。
 そんな奏を見ると、睨んでいた聖龍の目が少しだけ緩んだ。
「どんなに仕事が忙しくても…。双子が生まれて来ても…。一人が病気ばかりしているからと言って、もう一人の子をほっといて言いいわけないわ。病気の時は、みんな不安で苦しいのに…誰にも気づいてもらえないまま、あんなに寒い場所に放置されて…。辛かったわよね…苦しかったでしょう? 」
 スッと奏の頬に涙が伝った…。

「ごめんね。…貴方の事を、ほっといたわけじゃないのよ。ただ私も、必死で…貴方の事を信頼しすぎていただけだったの。貴方は人一倍かしこくて、理解のある子だから大丈夫だって…。本当にごめんなさい…翔次…」

 翔次と呼ばれると、聖龍の目が怯んだ。

「分かるわ。私もね、お父さんのお兄さんに生命エネルギーを分けてもらって生き返っているから…。貴方も同じなのね、kの世に未練を残して亡くなってしまったから…。次に生まれ変わっても、想いが残ってしまったのでしょう? 」

 睨んでいたい聖龍の表情が緩んだ。

「…それだけ私は、あなたの事を苦しめていた。…貴方がどんどん遠くに行ってしまうのに、もう追いかける事もできなくなってしまって…。気が付いたら、貴方は永遠に手の届かない場所に行ってしまった…。本当に、ごめんなさい…」

 涙ぐんでいた奏が泣き出してしまうと、聖龍は虚ろな目をゆっくりと奏に向けた。
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