7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…

「俺は…産まれてきてはいけなかったんだ…」

 幼かった聖龍の声が、急に大人びた声に変わった。
 その声は翔次とそっくりだった。

「何を言っているの? 産まれていけないなんて、そんな事ない! 私は、貴方と奏弥を命がけで産んだの。産まれてくる日をずっと待っていた。…双子だけど、とっても嬉しくて…。貴方がお父さんの後を継いでくれると言ってくれた時、とっても嬉しくて。やっと戻て来てくれたって思えたのよ」
「…でも俺は、ずっと困らせてばかりだった…」

「そのくらいいいじゃない。子供は親を困らせるものじゃない? どんな貴方だって、私が産んだ子供だもの。信じているわ」
「俺…背中に入れ墨してた…」

 フイッと、申し訳なさそうな表情を浮かべた聖龍を、奏はギュッと抱きしめた。
 聖龍は離れようとしたが、奏がギュッと強い力で抱きしめている為、離れることが出来なかった。

「知っていたわよ、そんな事。…これでも母親よ、貴方が寝ている時にこっそり部屋に入った事があるの。夏の暑い時だったけど、上半身裸で寝ていた貴方がいたの。その時に見えてしまって…。初めは驚いたけど、そのくらいの覚悟を持って生きていたんだなぁって思ったら。どんな貴方だって、いいじゃないって思えたわ」

 知ってて黙っていたの? 何も問い詰める事もなく…それでもいいって思ってくれたって事? 
 奏の腕の中で、聖龍はグッと込みがる想いが溢れて涙ぐんでいた。

「失った時間はとりも出ないけど。これから作る時間で、楽しい日々を過ごせるならそれでいいって思ったいたから。…貴方の病気を知った時は…自分が死ぬより苦しいと思ったの…」

 母さん…。
 そう言葉にしたかったが、声にならず聖龍はギュッと奏に抱き着いてきた。

「…もっと一緒にいたかった…。もっと話したい事あったから…」
 涙ぐんだ声の聖龍…。
 その声を耳にすると、また奏の頬に涙が伝った。

「うん、そうだね。もっと一緒に遊びたかったね。…もっと一緒に話したかった…。ごめんね、本当に。バカな母親で…」
「…もういいよ。…俺にできなかった事を、聖龍にしてくれたらそれで構わない」
「うん…」

 そっと体を離した奏は、聖龍を見つめた…。

「貴方が残した想いを無駄にしないから、安心して。これからできる限り、聖龍君に色々としてあげたいと思っているわ」
「うん…。凜さんの事も…大事にしてあげて。…凜さんは、本当は兄貴の事がずっと好きなんだ。俺は、それを知っていて凜さんと一緒にいたから…」
「そうだったのね。もう何も心配しなくていいから、安心して」
「…うん…。またきっと会おうね…母さん…」

 スーッと聖龍の表情が穏やかになって行き、そのまま眠ってしまった…。
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