7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
「悪いけど、今日は家族が待っているんだ」
「家族? 社長の事ですか? 」
「今日は、親戚の子を預かっている関係で早く帰らなくてはならないので。ごめんなさい」
「そうですか、それは残念ですね」
「それじゃあ、お先に」
奏弥は足早に帰って行った。
奏弥の去り行く姿を祥子はじっと見ていた。
その目はどこか嫉妬しているような、怖い目をしていた。
そのまま家に帰って来た奏弥は、真っ先に聖龍の元へ行った。
今朝よりは顔色が良くなっているが、熱がまだ下がりきっていないようだ。
「奏弥。聖龍君なんだけど、うちで預かってはいけないかしら? 」
「え? どうして? 」
「だって、この調子じゃ明日保育園にはいけないわ。凜さん、お仕事あるでしょう? 」
「そうだけど、俺の一存では決められない」
少し困ったような顔をした奏だが、ハッとひらめいた目を浮かべた。
「じゃあ、凛さんに連絡してくれない? 私から話をするわ」
「そ…そうだね…」
奏弥はちょっと迷った。
凛は宗田家とは縁を切っていると言っていた。
再会して子供達を通して仲良くなり、聖龍を連れて来て熱を出してしまったのだが。
奏と疾風に会わせると言う話はしていない。
状況が状況で、預かる流れになっているが果たして凜は納得するだろうか?
ちょっと不安を抱えながら奏弥は凜に電話をかけた。
「…ごめん。まだ聖龍君の熱が下がらなくて、俺の両親が預かると言っているんだ。俺も、明日は外せない会議があるから。…ああ、聖龍君はお母さんがいいと言うならって言っているよ。…うん…ああ、分かったよ。じゃあ、また連絡するから」
電話を切った奏弥はちょっとホッとした。
凜は仕事を休むから自分が診ると初めは言っていたが、凛太朗が元気になったばかりで一人保育園に預け一人を家で診ているのはいいが、凛の仕事も明日は休むことが出来なかったのだ。
聖龍がいいと言うなら、預かってもらっていいと承諾してくれた凜。
凛が承諾してくれた事を伝えると、奏は大喜びしていた。
「聖龍君。明日は、おばあちゃんの家に行くわよ」
熱で顔が赤い聖龍だが、キョンとした目で奏を見ていた。
「明日はね、おじちゃんお仕事なの。お母さんも、休めないらしいから。おばあちゃんが預かる事にしたのよ」
聖龍はこくりと頷いた。
「まだお熱があるから、今夜は体を拭くだけにしましょうね。お婆ちゃんが、一緒にねるからね」
ヨシヨシと、聖龍の頭を撫でる奏。
聖龍は素直に笑っていた。